- 2021年5月23日(日) 10:00〜11:30
- 福岡海星女子学院附属小学校 校長 山田耕司 氏
5月23日(日)、福岡海星女子学院附属小学校より、山田耕司校長をお招きして講演会を開催いたしました。 まずは、学校紹介映像を通して同校の特色を紹介していただきました。同校は、教育目標を「愛を持って真理に向かう」として、「カトリックの精神を基盤とする人間教育」「豊かな個性を育む少人数教育」「国際性を培う国際教育・英語教育」という特色ある教育を行っているそうです。中でも特に「英語教育の充実」には力を入れておられ、一年生の頃からネイティブ教師とJTE、担任教師の三人によるきめ細やかな英語の授業が行われています。また、上級生や留学生もボランティアとして教育活動に関わることで、英語を使って積極的にコミュニケーションを図ろうとする子どもの育成に取り組んでいます。さらに、卒業時までに英検4級から5級の取得を目指しています。そのために三年生以上から放課後、英検に向けての「イングリッシュボックス」という取り組みを行っています。また、同校では2020年から実施されている学習指導要領の中にある、子どもが主体的に学ぶ「アクティブラーニング」の充実と、ICTを活用したプログラミング教室の実施にも力を入れており、子どもが自ら問いを生み、探求する意欲ある教育を展開しているとのことでした。
次に、山田校長先生からお話をして頂きました。今日の教育は「形式知」(式、詩など)が重要視されています。しかし、これから必要とする主体的な課題解決能力を養うためには、隠されている「暗黙知」(体験、実践、遊び、心)が大切であるそうです。その暗黙知を育てることが出来るのは小学校であり、同校ではその教育を保証するために一学年一クラスでの運営をしています。暗黙知を育てるためには、実践的な体験をしなければその脳を育てることが出来ません。0歳から12歳までに、どのような体験や実践をしたかということで、その人の人生が見えてくるのです。よって子どもたちに、どのような教育をするか、子どもたちをどのような環境に置くかということが重要とのことでした。
新型コロナウイルスの影響で授業もリモートとなり、子どもの学力が低下したり、穏やかな心を常に持ったりすることが出来なくなってきています。そのような中で、同校では子どもたちが楽しみにしていることは全部やりたいという思いで、暗黙知を育てるため、少人数で行う等のコロナ対策をとりつつ、行事や普段の生活を送れるよう取り組んでいます。 「子どもたちが求めているものは何か」、それは小学校が楽しいと思えることであり、そのために同校では様々な工夫が凝らされているそうです。
また、校長先生は国語教育の重要性について、本を読まないといけない時期に、本を読んでいないから、本を通して沢山の世界の人々と出会えていないとおっしゃいました。それが、同校では「海星100冊」という読書を通して育つ子どもたちへの活動に繋がっており、読書の幅を広げる役割となっています。また、今年から1、2年生を対象に「ことばの教室」が開かれています。日本語の力が年々落ちてきているため、言葉に慣れ親しみ正しい日本語(話す、読む、書く、聴く)を指導されています。
映像や山田校長のお話から、同校の広大な敷地と豊かな設備、そして「森のある小学校」という自然いっぱいのキャンパスで、子どもたちがのびのびと成長している様子が伝わってきました。小学校就学前の重要な時期に、親子で沢山のコミュニケーションを取っておくと、その後の家庭での関係性や環境もより良くなるそうです。
このように、小学生の時期のよりよい環境作りが今後の子どもの成長において、どれだけ重要であるか改めて感じさせられる講演会でした。